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【ファイナル】1992年 ブルズVSトレイルブレイザーズ 全6試合
第1戦
試合序盤からジョーダンの放つシュートが面白いように決まり、特に本来ジョーダンの武器にない3Pシュートが次々と決まった。ジョーダンは前半だけで6本の3ポイントシュートを決め、当時の3Pシュート成功数ファイナル記録に並んだ。また前半だけで35得点を記録し、エルジン・ベイラーの持つ前半だけでのファイナル最多33得点を更新。どよめきが渦巻くシカゴ・スタジアムで、前半最後の3Pシュートを決めたジョーダンは、自分自身信じられないとばかりに肩をすくめて見せた。試合はブレイザーズに殆ど見せ場を作らせることなく、122-89でブルズが圧勝。後半あまりプレイしなかったジョーダンは39得点11アシスト、スコッティ・ピッペンは24得点9リバウンド11アシストを記録し、ブルズは出場した全選手が得点した。ドレクスラーは16得点に終わった。
第2戦
第1戦の興奮が冷め遣らぬ第2戦、しかし試合はブレイザーズペースで進み、前半を終えた時点でブレイザーズが9点のリードを奪っていた。しかし後半になると少しずつブレイザーズのリードが減り始める。第3Qにブルズはジョーダンが14得点、ジョン・パクソンが9得点をあげ、スコアはいつのまにかブルズ10点のリードに変わった。そして第4Q残り5分を切ったときにドレクスラーがファウルアウトした時点で、ブレイザーズの2連敗は確定したかに見えた。しかし直後のプレイでジョーダンがテリー・ポーターへのファウルを取られ、これに不満を持ったジョーダンは審判に抗議したが、さらにテクニカルファウルを宣告された。この辺りから流れはブレイザーズに傾き始める。ポーターは3つのフリースローを決めて7点差とすると、さらにドレクスラーのかわりに入ったダニー・エインジの活躍で点差は徐々に埋まっていき、そして残り45秒にはジェローム・カーシーのシュートでついに同点に並んだ。ブルズはすぐにジョーダンが得点を決め、97-95とリードを奪い返すが、残り13秒にはケビン・ダックワースのフックシュートで再び97-97の同点。決勝点を狙ったジョーダンのシュートを外れ、試合はオーバータイムにもつれ込んだ。
オーバータイムではファイナル経験豊富なエインジが活躍。エインジはファイナル記録となるオーバータイムだけで9得点をあげ、115-104でブレイザーズが敵地での貴重な1勝をあげた。ジョーダンはこの日も39得点10アシストの活躍だったが、結果的には第4Qのテクニカルファウルがチームの敗因に繋がった。ブレイザーズはドレクスラーが26得点7リバウンド8アシスト、ポーターが24得点するなど先発全員が二桁得点を記録し、また優勝経験を買われて獲得したエインジは見事にチームの期待に応え、17得点を記録した。
第3戦
ブルズの保持するホームコートアドバンテージを無効にし、ホームのメモリアル・コロシアムに戻ってきたブレイザーズだが、しかしホームでの初戦はチームのプレーオフ最低記録を次々と更新するという不名誉な試合となり、94-84で敗退した。最終スコアの84点、前半の39得点、前半のフィールドゴール成功数28本は、いずれもブレイザーズのプレーオフ最低記録である。ブレイザーズはドレクスラーが32得点9リバウンドと奮闘したが、他のチームメイトが振るわなかった。ブルズはジョーダンが28得点、ピッペンとホーレス・グラントがそれぞれ18得点を記録した。
第4戦
出鼻を挫かれたブレイザーズは、最初4分間を無得点で過ごし、いきなり10点のリードを奪われた。第4Q序盤、ブレイザーズのリック・アデルマンHCは奇策を用い、ケビン・ダックワースとバック・ウィリアムスの2人のビッグマンをベンチに下げ、ドレクスラー、ポーター、エインジ、カージーのガード-フォワード陣に、ファイナルでは殆ど出番がなかったパワーフォワードのクリフォード・ロビンソンを加えた陣容を敷いた。スモールラインアップとなったブレイザーズはブルズに襲い掛かり、じわじわと点差を詰めると試合終盤についに逆転。93-88でブレイザーズが勝利し、2勝2敗とシリーズをタイに戻した。ロビンソンはチームの期待に応え、17得点6リバウンドと活躍した。
第5戦
2勝2敗のタイで迎えた第5戦は、今後のシリーズの流れを占う重要な一戦だったが、試合は終始ブルズペースで進み、119-106でブルズが勝利し優勝に王手を掛けた。ジョーダンは46得点、ピッペンは24得点11リバウンド9アシスト、ドレクスラーは30得点10リバウンドを記録した。
第6戦
後が無くなったブレイザーズとドレクスラーは懸命のディフェンスでジョーダンを抑え込み、ジョーダンは最初の11分間を無得点で過ごした。第3Qが終わった時点でブレイザーズが79-64と大きくリードを奪い、シリーズは第7戦に持ち込まれるかと思われたが、第4戦でアデルマンHCが奇策を用いたように、今度はブルズのフィル・ジャクソンHCが大胆な策を用いた。この重要な場面で、ジョーダンやその他先発選手を揃ってベンチに下げてしまったのである。コートに立ったのは控え選手4人と唯一先発選手としてコートに残ったピッペン。ジャクソンの起用法は狂気の沙汰にも見えたが、ピッペンは普段陰に隠れた控え選手を見事に纏め上げ、僅か3分でブレイザーズとの点差を3点にまで縮めてみせた。そして浮き足立ったブレイザーズに引導を渡すのが、ジョーダンとピッペンのリーグ屈指のデュオである。2人は残った時間で19得点をあげて一気に逆転を果たし、97-93で勝利したブルズが2年連続の優勝を果たした。
ファイナルMVPは35.8得点を記録したジョーダンが2年連続で選ばれた。2年連続シーズンMVP、得点王、ファイナルMVPの三冠を達成したのは、ジョーダンただ一人である。ドレクスラーもシリーズ平均24.8得点をあげたが、試合を支配する力、チームを勝利に導く力においてはジョーダンに及ばず、「エア対グライド」はエアに軍配があがった。ロッカールームでシャンパンファイトを終わらせ、優勝セレモニーのため再びコートに戻ったジョーダンは、オフィシャル席のテーブルに駆け上がると、歓喜に沸く客席に向かって連覇を表す2本の指を突き上げてみせた。
連覇を果たしたブルズには当然のように三連覇、「スリーピート」の期待が掛かった。ジョーダンは28歳、ピッペンとホーレス・グラントは26歳とブルズの主力選手は正に絶頂期にあり、その可能性は高かった。ジョーダンとブルズにとって当面の敵は、翌シーズンも続くジョーダンへの容赦のないバッシングと、2度の優勝によるモチベーションの低下だった。
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